「少女は自転車に乗って」と「もうひとりの息子」

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     昨夜でギンレイホールの上映が終わってしまったが、イスラムの世界をいずれも女性の監督が描いたこの2本は、それぞれに興味深く面白く見せて気持ちよく終わりながら、さまざまな問題を考えさせずにおかない。

     「少女は自転車に乗って」は、女性の自由がきびしく制限されるサウジアラビアにありながら、自転車を手に入れて街を走りたいという思いで頭が一杯の少女の物語。「もうひとりの息子」は、ふたりの若者が、誕生時に病院で取り違えられていた ことが判明して、その家族とそれぞれの社会環境の中で みずからが何者であるかを、改めて問い直さねばならなくなるという物語だ。しかも、ふたりの国はイスラエルとパレスティナ。利害が対立するなどというものではなく、一方の存在を肯定すれば他方は否定せざるを得ないと、少なくとも根底では考えられている2つの国家なのだ。
     
     いずれも、自分が何者であるかを確立する物語であると同時に、おのれを包む環境とたたかいながら、それとどのように関わるかを模索する物語でもある。「わたしは何者か」という問いは、「世界とは何か」という問いと対極にあるようだが、じつはすこぶる近くにある。
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