ビル・カニンガム&ニューヨーク
このごろぼくは劇映画であるかドキュメンタリーであるかをほとんど意識せずに映画をみている・・・これを見終わったあとに気づいた。
映画の作り手はたがいの方法を取り入れるようになっているんだろうし、ぼくたち受け手の側には 映画やテレビ以外のさまざまなメディアからあふれるほどの映像が身近に入るようになった。まして、事実を伝えるとされてきたマスメディアは、ある方向の事実をとらえた映像の中から 制作者だけではなくスポンサーや権力者の意図に沿って断片を選び出して編集しているということを、多くの人が実感として知るようになった。
事実とフィクションの境界は連続的になったにしても、目指すべきはいずれにしても、 世界とは何かという真実だ。
見逃していた「ビル・カニンガム&ニューヨーク」をギンレイホールで上映するときいて楽しみにしていたから、ぼくにしてはめずらしく初日に行くことにした。
ビルは82歳、長いあいだ カーネギーホールの上に独りで住んでいる。毎日のように自転車でニューヨークの街を走りまわっては、魅力的に衣服をまとった女たち、男たち、そのあいだの人たちを見つけると、こぼれるような笑みをたたえてニコンのシャッターを切って50年。自転車はもう29台目、28台は盗まれた。
彼は、ニューヨークタイムズにOn the Streetという写真コラム(そんな言葉があるかどうか知らないが)を長い間つづけている。
- 2013.11.16 Saturday
- ひと
- 07:00
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- by 玉井一匡