「かぞくのくに」と「舟を編む」

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     ギンレイホールで上映中の2つの日本映画は、文化と制度という対概念の興味深い組み合わせだ。
    舟を編む」は、新しい国語辞典をつくろうとする人々を描いている。「かぞくのくに」は、かつて北朝鮮に渡った兄が病気治療のために一時帰国するのをむかえる在日朝鮮人の家族を、妹の眼で見る話だ。

     言語は文化の根幹をなすものである。その要素であることばたちを集めて整理したものが国語辞典だ。国語辞典という言い方をそのまま英語にしたら National language dictionary とでもいうんだろうが、そんな言い方をする辞書がどこかの国にあるとは、僕は知らない。ぼくたちが日本語辞典と言わず国語辞典ということに、どこか間違いがあるのかもしれないという疑問を忘れないでおこうと思う。とはいえ、ぼくは図鑑とおなじような意味で国語辞典もだいすきだ。ひとつの世界の全体をまるごと見せてくれる博物館のようなものだと感じるからだ。

     言語が文化の根幹であるとすれば、国家というものはほぼ最大の制度だ。制度は、その枠組みの中にいるものを護るために作られたはずだが、べつの見方をすれば、それを逸脱するものはその恩恵から排除されるということでもある。何であれ制度というものは、おおかた排他的なものだ。
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