アカショウビンを帰す
- 2013.08.28 Wednesday
- 自然
- 21:53
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- by 玉井一匡
「金魚もメダカもいませんが、ボウフラは出ませんか?」
「この鉢は鉄なのでボウフラがわかないようです。ところが、ヤゴは棲めるらしくて、2匹がトンボになって飛んでいきました」とおっしゃる。
あとになって話に加わった隣人によれば、黒地に黄色の横縞の大きなやつだったからオニヤンマだろうという。
「ボウフラもいないのに、ヤゴは何を食べるんでしょう?」
「ミジンコだと思うんです。金魚のエサに乾燥ミジンコが入っていて、それを水に入れると生き返るんですね。ミジンコというのは苔でも食べているのかと思っていたら、じつは肉食もする獰猛なやつで、イトミミズなどをいれると群がって食っちゃうんですよ」
昼過ぎになると花を閉じますが、 明日の朝にはまた開きますから 開くところを見たかったら 5時か6時くらいにいらっしゃいとおっしゃるので、明日の朝 またうかがうかもしれないと言って駅にむかった。その夜には、ふたたび固く赤い蕾にもどっていた。
沢木耕太郎の「キャパの十字架」のあと、ぼくはずいぶん長いあいだエントリーしないまま、やがてふた月になる。
言いたいことがなくなったからではなくて、言わなければならないことや 知りたいことが次から次へと出てきて、それらがたがいにつながっているうえに、いま われわれの生きる時代とも深くつながっているから、ときに腹立たしくときに落ち着かなくなるのだ。
「キャパの十字架」を読み終わったあと、どうも釈然としないところがあった。それは、このノンフィクションと並行して同じ題材のNHKのドキュメンタリー番組に沢木がたずさわっていたことと関わりあるにちがいないが、ぼくはそれをまだ見ていないのだとブログに書いた。
すると、すぐに五十嵐進さんから、DVDにダビングして送るというメールをいただいて数日後には、NHK スペシャル「沢木耕太郎推理ドキュメント運命の一枚”戦場”写真最大の謎に挑む」と日曜美術館「ふたりのキャパ」が届いた。
このNHKスペシャルは、沢木自身が案内役をつとめ、ナレーションの文章も沢木の書いたものが使われるくらい、彼自身が深く関わって「十字架」と同じ道筋でおなじ結論に至るのだ。しかし、たった一枚の写真という題材を検証するとあっては、映像とコンピューターがやすやすとやってのけることに、文章はとてもかなわない。
DVDを見たあとに、沢木自身を動かしたのは何だったのか、それ以上にキャパとその時代について知りたくなったぼくは「ちょっとピンぼけ」もまだ読んでいないのだが、沢木の翻訳した二巻の伝記「キャパ その青春」「キャパ その死」(リチャード・ウィーラー著)を手に入れた。