深夜のまち・新年のもち
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事務所から自転車の帰り道には江戸川橋の商店街を通り抜けることが多い。すでに日付は12月28日に変わり午前1時をまわったころ、一軒だけ白熱灯の光のミカン色が路上にこぼれているのが遠くからでも見えた。そういえば去年もこうだった。両側に店の並ぶ商店街もこの時間になればほとんど人通りも車もないので、店の建具を開け放って組立式の棚に大小とりどりをならべている。
いちど店の前を通り過ぎてから、ぼくは自転車を停めて店の前にもどった。
できあがるたびにお供え餅を並べた板を両手でもってきては道ばたに置いた棚の枠に脚のついた板をはめこんでゆき、棚は少しずつ満たされてゆく。丸めたばかりのまだ熱い餅を、冷たく乾いた空気にさらしているのだ。
棚は歩行者用の白線の内側、店のテントの下に置いてある。元旦の夜にコンビニの灯りが煌々とこぼれているのは正月らしさを損なうけれど、年末の商店街に こうして一軒だけ店を開け放って餅を並べて立ちはたらいているのは、正月が間際であることをしみじみと感じさせて胸が騒ぐ。
- 2012.12.29 Saturday
- Place
- 07:23
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- by 玉井一匡