図書館で廃棄された「岩波講座 日本歴史」を持帰った・・どこかおかしくないか?

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     行きつけの図書館の玄関に本棚が置いてある。そこには「ご自由にお持ち下さい」と書かれていて、毎月一度、廃棄される蔵書が置かれるから、その日に巡り会うといつも一応は目を通すのだが、10月1日は日曜日だが時間があまりなかった。そのときすでに出発時刻に遅れている「安倍政権強制終了デモ」の前に寄って、本を返そうとしていたからだ。

     

     この日の本棚には「岩波講座 日本歴史」全24巻のうちの15冊が並んでいた。12巻以降が欠けることなく揃っているから、江戸時代後半から戦後にいたる日本の大転換時代すべてがあるわけだ。

     自分の不正の追及を避けようという 安倍晋三の個人的な動機で解散された衆議院の選挙が、結果如何によっては日本の歴史を悲惨な道に導くかもしれない この時期に、よりによって日本の歴史が捨てられることに出逢ったのも何かの縁だと思い、本の置き場はあとで考えることにして、とにかく すべて自転車の荷台にゴムの紐でくりつけて持ち帰った。

     夕方、自宅にもどってWikipediaを調べると、「岩波講座日本歴史」は 1933−35年の第1次から2013-2015年の第5次まで5回にわたり刊行されている。これは、そのうちの第3次(1975−1977)のシリーズということになる。


     今後も定期的に刊行されるであろうこの叢書は、時代ごとの歴史学会の主導的な視点の記録でもあるわけだ。だとすれば これは、5次にわたる刊行のすべてがあることによってこそ、歴史学の歴史を知る資料になるのではないか。「史学の歴史」にとっては一次資料といってもいい。公共図書館が、あたかも歴史は終わったと言わんばかりに処分しようというのだろうか。
     

     もしかすると、いわゆる歴史修正主義にもとづくお上の指導の結果なのかもしれない。森友加計問題で、さまざまな公文書が改竄されあるいは隠蔽ならまだしも廃棄したと公言さえしているが、公文書を保存することは 自分たちが歴史の一部をつくっていることであって、たとえ独断による行政を行ったとしても、それらをきちんと保管しておいて後世の評価に委ねようというような公正な視点を、安倍晋三の政府は まったく持ちあわせていないのだ。つまり、後世においても肯定しようのない行為をしたことを、行政府は自覚していることになる。

     

     「安倍晋三は、息をするように噓をつく」とは 的確な表現だと思うが、そのとおり、数年を振り返ってみても 彼が公然と噓をついたことは数知れない。噓をつくとは、過去に語りあるいは書いた言説をみずから無視することだ。出版物は、われわれの時代が残した言説であり、ましてこれは、多くの人々が信頼する人々の書いた歴史なのだ。安倍晋三が平気で噓をつくことと、歴史を消し去ろうとすることは、見事に一致する。

     

     憲法学者石川健治が、安倍内閣の暴挙を「クーデタに等しい」と指摘している。過去の政府が許さなかった集団的自衛権を、安倍内閣が閣議だけで決めて本会議で強行採決で承認させたことを批判してのことだ。政府が継承してきた憲法解釈という「歴史」を無視し、立憲主義に対する極めて暴力的な振舞だと考えるからだ。

     

     今度の日曜に図書館に行って、ぼくは この叢書がなぜ廃棄されたのか 事情を聞いてこようと思う。そして、残すべきだと説得しよう。もし 図書館がこの叢書の廃棄を撤回するなら、よろこんでお返ししたい。

     

    ■関連リンク

    *「クーデター」で立憲主義破壊 憲法学者、石川健治・東大教授に聞く/2016.05.02/毎日新聞


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