IWJがおもしろい;郷原信郎・寺脇研・望月衣塑子

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     先週、岩上安身が主宰する ニュース・ウェブサイト「IWJ」 に会員登録した。

     いまさら 登録したのは、3人の人物のインタビュー映像を見たかったからだが、もうひとつ、岩上が ことあるごとに訴えるIWJの財政危機を、ささやかながら応援したいと思ったからでもある。月々1000円でも 数があつまれば力になるだろう。

     

     IWJの報道はインタビューを軸にしている。複数の人間による討論は、様々な方向から問題を見ることができ、しかも 一種の競技の場となって面白いし、不偏不党の建前もできる形式だ。だから、多くのテレビ番組は バラエティ番組になるというわけだ。

    しかし、討論は内容でなく論争に勝つことに話が歪められることが多いし、ものごとを深く掘り下げて考えるには、インタビュアーとの一対一で、充分に時間をかけて 訊くべきことをききだしつつ 話し手の言いたいことを話させてゆくのがいい。

     

     インタビューを見たかった3人というのは 郷原信郎・寺脇研・望月衣塑子だ。

    IWJのインタビューの多くは、冒頭の10分前後が 会員登録しなくても見ることができるのだが、それらを見て ぼくは 終わりまで見たくなった。寺脇研のインタビューなど 実に4時間を超えて、思いのたけを語りつくしてくれる。それを、26日からの3日間21時から、3回にわけて再公開する。


    ・郷原は検察官出身の弁護士、 評論のほかに小説まで書いている。特捜による捜査権の濫用を批判し内部告発をしてきたことに 僕は興味を持って 信用できる人だと思ってきた。

    ・寺脇研は もと文科省の官僚で、かつて「ゆとり教育」を先頭に立って進めたが、「反ゆとり」の攻撃によって居所を失い退職。文科省時代には4年後輩に前川喜平がいて、いまも親交がある。

    ・望月衣塑子は,官房長官会見の獅子奮迅の追及で いまや知らぬもののない東京新聞の記者だが、以前にも アベノミクスの軸のひとつである武器輸出の問題に切り込んだ著書「武器輸出と日本企業」がある。

     

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     郷原信郎は「郷原信郎が斬る」というブログを書いている。そこに、獣医学部新設は本当に必要なのか 〜「法科大学院の失敗」を繰り返すなというエントリーで、選定過程の是非以前に、そもそもこれが必要なのかを問うのだ。

     さらに、「読売新聞は死んだに等しい」というエントリーでは、読売が本社を挙げて 前川喜平の信用を失墜させるための記事を掲載したことを厳しく批判する。かつて読売の司法記者としてまっとうな問題意識をもって協力し、同志というべき親交のあった山口寿一が、あるときからまったく連絡が途絶え、現在では社長になっている。

     こうした事実をもとに、郷原はブログでもインタビューでも、理路整然と批判を展開する。


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     寺脇研が文科省を退職する原因となった「ゆとり教育」とは、生徒だれもが同じことを憶えさせられ 同じ試験によってはじき出された偏差値で評価され、進路を決められるという馬鹿げた仕組みを変えようとしたことだ。

     

     ぼくはいまでも、ゆとり教育の方がいいと思う。それが生徒の学力低下を招いたとして批判されたのだが、そもそも詰め込み教育の成果を測るためにつくられたのが学力テストなのだから、その点数が下がる結果を生じたとしても当然のことだ。テストの方が間違っているのだ。

     寺内は、IWJのインタビューで自身の考えを語ると共に、前川喜平が生真面目に現場に運んで物事を知ろうとする人物であることを語っている。


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     望月衣塑子は、官房長官会見の暗黙の了解を乗り越えることのできた理由を語る。記者の質問に対して内容のある答えを与えない、却下にひとしい官房長官の対応に、これまでの官邸詰めの記者たちは 「慣例」の名の下に二の矢三の矢を放つことなく引き下がった。

     そうやって、男たちは 厚かましい行政責任者たちを生きのびさせ、政治の悪化 劣化に手をこまねいてきた。元来は社会部記者である望月が、どのようにしてその枠を超えたかを岩上のインタビューは訊き出す。

     

     寺脇研と前川喜平は「行政府」の重要な一翼を担う官僚だった(寺脇は文科省を 逆説的に「三流官庁」というが)郷原信郎は「司法」を担う検察官だった。岩上安身、望月衣塑子は第四の権力と言われる「マスメディア」の分野にある。

     現在の日本は、民主主義の軸となるべき 権力を分散する国家システムが 独裁に傾きつつあることを見て、彼らは、なんとかしなければならないと 既存の枠組みの中で奮闘してきたが、それがかなわず 外に出た。外に出て、ふたたび立ち上がり その枠組みを変えようとしている。望月だけは、既存メディアの枠の中にありながら 馴れ合い会見に汚されずに戦っている。

     

     しかし、かれらに匹敵するレベルで この枠組みに挑もうとしている人が、政治の分野では まだ現れていない。政治は、三権のうちのふたつ「立法」と「行政」にまたがるうえに、有権者の投票という過程を経ねばならず、多くは政党の拘束のもとにあるから ひとりの志だけでは立ち上がりにくいという困難があるだろう。しかし、有権者の後押しがあれば、それはむしろ アドバンテージに転ずるはずだ。

     

    ■関連リンク

    IWJ インディペンデント・ウェブジャーナル:インディペンデントとは広告を掲載しないということだ。したがって、企業に遠慮することなく、報道すべき対象を報道すべき立場に立って みずから判断して報道する。

    郷原信郎が斬る:郷原信郎のブログ

    寺脇研のtwitter:落語家とも親交のある寺脇のtwitterには、立川談志楼や志らくなどの仲間がいる

    「憲法ってこういうものだったのか!」/Myplace:日本国憲法で みずからの行動を律する官僚だった寺脇、憲法の外に置かれた在日外国人だった姜という 対照的な立場にあった二人が、そこからひとひねりした立場で憲法を語り合う

    ・「武器輸出と日本企業」:望月衣塑子著/角川新書


    コメント
    第二次安倍政権以降、彼と彼を支える政治勢力が目指している改憲前にもかかわらず既に、基本的諸権利および諸自由の恣意的な制限、そして諸権力の分立の有名無実化は、徐々に、しかし確実に、進行しています。『茶色い朝』や『犀』の不条理な世界のなかでのように、気づくことが難しいこの緩慢な変化のなかで、このままこのようなことがさらに続くならば、安倍晋三という実態は単に不様で幼児的な、滑稽でしかない政治家が、露骨な縁故主義を含む独裁体制を完成させ、かつて幾つかの発展途上国でみられた「終身大統領」に近い形で権力の座を占め続けるという目的を達成してしまうことが、誇張ではなく本当に懸念されます。
    しかし幸い世論には最近大きな変化が起こり、安倍政権の支持率は著しく低下しました。加計学園問題で前川氏が声をあげたことが転換点だったことは確かですが、六月八日の定例会見で望月衣塑子氏が菅義偉を追い詰めたことがそれに劣らぬ大きなインパクトを与えたこともまた疑いありません。都議選の結果やそれ以降に起こるであろうことを予想するのは難しいですが、ますます多くの市民が安倍晋三と彼の政権の真の顔を知りつつあるので、政権側がいかなる手段に訴えようとこの流れをもう変えられないとすれば、支持率の低下が止まらずに、第一次政権のときと同じように不様な形で安倍政権が終わりを迎えることは十分にありうると思います。
    もちろんまだ楽観的になれるまでの状況ではありませんし、後継政権が安倍政権よりさらに悪いということはないにしてもどの程度ましなのかさえわかりはしないのですが。
    • Tosi
    • 2017/07/01 8:01 PM
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