AIよりIA

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     コンピューターは自転車のようなものだと言ったスティーブジョブズの考え方に、いまも ぼくは強く深い共感を覚える。Macと自転車が 生涯の重要な友と思っているが、そればかりではない。

     

     クルマの全自動運転の実現が近いというニュースを聞いたり、プロの棋士がやっとのことでコンピューター相手の囲碁で勝ったドキュメンタリーを見たりすると、ぼくは不安な気分になる。

     

     人間がいちいち指示を与えなくともコンピューター自身が あらゆる状況を知りや目的を考え判断して動くことのできるAI(Artificial Intelligence:人工知能)を、コンピューターの究極の目標と考える立場がある。

     それに対して、コンピューターは人間のもっている知的な能力を拡げるものだと位置づけ、それをIA(Intelligence Amplifier )という考え方があるのだと、僕は2年ほど前に知った・・・インテリジェンス・アンプとよんでおこうか。

     

     それを知ったときぼくは 当然のように この自転車を思いうかべた。

    古くから スティーブ・ジョブズは、「コンピューターは、ぼくたちの精神のための自転車だ」と言っていたし、1984年にはスーパーボウルのハーフタイムに歴史的なCMをTVに流した。

     人間を支配する巨大な権力者をぶち壊してみせた このCMは「巨大コンピューターは人類を支配しようとするが、Macintoshはひとりひとりの人間の能力を拡げる」というメッセージを伝えようとした。むろん、ジョージ・オーウェルの「1984」が背景にあるし、その独裁者はIBMを念頭に置いたものであるのはいうまでもない。

     

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     かつて 秋山東一さんが、自身のブログ aki's STOCKTAKIGに「Bycycle of the mind」というエントリーで、ジョブズの この言葉をとり上げた。ここでリンクしている動画では、若くて生意気そうなジョブズが「 Computers are like a Bicycle for Our Minds」ということをしゃべっている。

     

     インターネットで図書館の本を予約すると、しばらくして その本に関わる広告がAmazonから送られてくることがある。図書館にどんな本を注文したかという情報をamazonが把握しているのだ。

     スノーデンによれば、スイッチを切っていても 携帯電話を持っているだけで、CIAやFBIはそのスイッチを勝手にONにして盗聴器として使うことができるというのだ。ビン・ラディンはそうやって居場所を特定されて殺された。

     

     だからといって、「2001年宇宙の旅」のように、自分の意志を持ったコンピューターが勝手に動いているわけではない。人間や組織がコンピューターをつかって情報を入手したり、それをつかって競争を有利にしたり人を殺したりしているのだ。

     

     AIとIAそのものは、かならずしも対立概念というわけにはゆかないだろう。AIはコンピューター技術についての概念であって、IAはコンピューターの使い方についての概念であるからだ。

     しかし、国家や企業が、外国や自国の国民を自在にコントロールするためにコンピューターに命じて利用することと、ひとりひとりの人間ができるだけ多くのことを知り正しく判断するために、 コンピューターを自転車のように利用することを対置するなら、ふたつは対立概念となる。

     

     こうして考えると、これは 国家や強大な企業のもつ権力と、ひとりひとりの人間の持つ権利の対比を思い起こさせる。そこでぼくは、AIではなくIAに共感を覚えるのだ。国境や人種や所属する組織をこえて、ひとりひとりの人間を結ぶことが、IAによって実現できると信じたい。

     国民国家というものが揺らぎはじめたと言われて久しいが、だから独裁国家や排他的な民族主義に逆行させようなどという連中が大きな顔をしようとしているのは、誤解もはなはだしい。IAは、ひとりひとりがもっと自由になって海をも越えたコミュニティをつくるものだ。 IAMAT


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