「大石芳野写真展 瞳の奥に -戦争がある-」 しかし、われわれの政府は・・・
できるだけ多くの人に見てほしいと思っていたのに、吉祥寺駅に近い武蔵野市立吉祥寺美術館で開かれている 大石芳野さんの写真展「 瞳の奥に -戦争がある-」の会期が、明日の日曜日 11月28日までの 残り2日となってしまった。
大石さんは、戦争で多くのものを失い 心身を深く傷つけられたひとびとをモノクロームの写真に残しているから それを見るのはつらいのだが、写真を見ているうちに思い出されることがある。
戦争で失われたものの大きさ、それでもなお生きようとする人々のうちで 吹き消されることのない燠火、おそらく子供たちに生まれながらに授けられた生きる力、それらが 写真に写しとられているのだ。いや、彼女たちの表情そのものがフィルムであるように戦争が写しとられながら、それを透けるように 生きようとする力が見えるのだ。
大部分の写真は、ベトナム、カンボジア、ラオス、アフガニスタン、コソボ、広島、長崎、沖縄などで撮ったものだ。被写体となっている人たちは 男が少なくて、戦争に巻きこまれた母や妻であり娘である女たち、そして子供たちである。それは、大石さんが女性であるからではない。いつの時代も繰り返されてきたように、男たちは戦場に行き、殺し殺されるからだ。男らしさなどと称揚されるものが残すのはこれだ。
カンボジアでは、男たち とりわけ教職にあった人たちや技術者、芸術家などが、あろうことか 戦の敵ではなく自分の国の支配者に撲殺された。「女の国になったカンボジア」という大石さんのノンフィクションには、そういう国のありさまが描かれている。
- 2021.11.27 Saturday
- ART
- 07:30
- comments(0)
- -
- -
- by 玉井一匡