映画「タクシー運転手」

0

     「タクシー運転手」がギンレイホールに来た。

     

     「日本は、これからあんな風になっちゃうのだろうかと思うけれど、ぜひ観てほしい」と 悲観的にすすめられたが、ぼくは むしろ映画に勇気づけられた。

     

     こんな軍事政権に支配されていた韓国が、40年足らずで 現在のような経済状況と自由を手にしたのだから。

     

     1980年5月、東京からソウルにやってきたドイツ人カメラマンを、彼が何者かも知らず、光州で何が起きているかも知らず、ただ長距離の上客と思いこんで金浦空港から光州まで車を飛ばしたタクシー運転手が、やっとのことでたどり着くと、軍隊が丸腰の市民を相手に銃撃している。

     

     さながらサイコロを転がすように、たまたま拾った客の求めるままに行き先が決められるタクシー運転手。そうした人物が主人公であることによって、ぼくたちも 日常生活に追われる平凡な市民になって歴史の渦に巻き込まれてゆく。

     だが、これはフィクションではない、 実在したドイツ人カメラマンと韓国人タクシー運転手の出会いをもとにしたものだ。だからこそぼくたちは引き込まれる。


    「君たちはどう生きるか」

    0

       おくればせながら「君たちはどう生きるか」を読んだ。

       はじめは なかなか物語に入り込めないのだが、やがて、車中で読みふけって電車を乗り過ごしてしまうほどに熱中して 2日あまりで読み終えた。

       

       宮崎駿が、もう長編はつくらないという宣言をひるがえした時には驚いた。

       もうつくらないと言って、しばらくするとつくりたくなるというのは、これまでにもあったことだが、「君たちはどう生きるか」と大上段に構える説教臭いタイトルに驚いたのだ。

       

       しかし、その原作が吉野源三郎のあの本で、すでに マガジンハウスから出ている漫画挿絵入りの小説は  いずれもベストセラーになったときいて 興味津々になった。

       岩波を代表する人物である吉野が書いたこの本の存在を知っていても、読もうとしたことすらなかった。

       

       やがて娘が買って来て読んでいたから、終わったら貸してくれることになっていたのに、どうも失くしたようで、だからといって買い直す気にはならないのも分かるから、プレゼントした。ぼくの魂胆は娘も分かっているから、先に読んでいいと言うので、ぼくが先に読むことにした。


      GO VOTE・・・新潟県と中野区の首長選挙

      0

         今日は、中野区の区長と新潟県の知事を選ぶ選挙の投票日だ。

        中野区はぼくの住むところだし、新潟県には実家があって、いずれも他人事ではない。

         

         自公明の推す候補は、いまの世の中を劣化させている安倍モデルを踏襲しようしている。

         新潟県では東電の柏崎原発を再開しようとしている人物を推す。経団連の会長にイギリスの原発をつくろうとしている日立の代表が就任し、三菱重工の社長は原発に力を入れると発言し、世界とは逆の方向に舵をとって歩調を合わせる狂気の沙汰。

         中野区では、オリンピックのために旧刑務所の樹木を伐採してしまったし、サンプラザを壊してアリーナに建て替えようとする4期目の現職。

         

         野党が連合して推す首長候補は、いずれも、地方公務員の出身で、先日、中野駅前に枝野幸男・長妻昭が候補者の応援に来たとに聴衆の掲げたオレンジ色のメッセージボードが印象的だった。

         

         一方は、生活環境を劣化させるが金を落とすことを売りものにして、他方は市民の生活をよりよくするよう政治のありかたそのものを作り直そうと訴えるのだから、両者の次元は離れている。

         マスメディアも政治家も口にすることができない禁句だが、このありさまを招いたのは、有権者が投票せず考えもせずに投票する・・・愚かだからだ。

         

         メッセージボードは、それをおだやかに「GO VOTE 試されているのは有権者だ」と訴える。


        Corazon Loco:イニエスタのワイン

        0

           一昨日、よき日を祝うために近くのスーパーマーケットに行って、この白ワインを一本買ってきた。

           

           なにしろ「日本と日本の人たちが好きだから、国民の一部になりたい」なんて泣かせることを言ったイニエスタが 正式にJリーグのヴィッセル神戸と契約を交わした日なのだ。

           国民や国のことなど考えもしないこんな首相と 情けない政府が支配する国だというのに、そんなことを言ってくれるいいやつ。

           

           しかも イニエスタは、バルサの若い選手に機会を与えたいとチームを退き、バルサとは闘いたくないから アジアのチームに行きたいと言ったそうだ。東京でなく神戸に住むほうが家族も気持ちよい生活ができるだろうし 長く日本に腰をすえてほしい。

           

           ヴィッセル神戸は、ただの商売や気まぐれでイニエスタを獲ったわけではない。

          三浦淳寛をスポーツディレクターにすえて本気でチーム改革をしようとしているという記事が 先日、Numberに掲載されたばかりだ。

           イニエスタは、契約時の会見で「三木谷さんと三浦さんに感謝する」と言ったくらいだし、ワールドカップに優勝する前からドイツ代表チームでフィジカルコーチをしていた咲花正弥をコーチに迎えていた。(「ヴィッセルが進めるバルサ化とは」/NumberWeb

           

           ぼくが料理用でなくアルコールを買うことは 滅多にないが、去年のバレンタインデーの頃に 事務所の近くのスーパーに、イニエスタのワイナリーでつくられたワインが置かれていることを知り さっそく行って 赤白一本ずつ買った。それがなくなってから買い足していなかった。

           

           こんどは、赤と白に加えてロゼもあった。しかし、白だけデザインがかっこいい。ハート型にラベルを切り抜いてあって そこから瓶の中身と背中のラベルの裏側が見えるのだ。

           中身には大きな関心があるわけではないぼくは 白を一本だけ買ってきた。かつて、イニエスタがワイナリーを持っていると聞いたときには、もともとあったワイナリーを買収したということなのだろうと思ったのだが、ウェブサイトを見ると工場の設備も施設も新しいようだし、どうも田舎の小さな村に新たにつくったらしい。ワイナリーのウェブサイトを開くと、工場も葡萄畑も動画で見ることができる(BODEGA INIESTA

           


          方尺の春

          0

            Click to PopuP

             

             毎年3月3日に、ぼくは ばらちらしをつくる。

             つくると言っても、自分の手でつくるのは干し椎茸を甘辛く煮たり 海老や菜の花をゆでたり卵焼きを焼くことと、寿司酢をつくって飯に和えるくらいのものだ。

             

             あとはさまざまな魚介と野菜を買ってきて、出し汁や 酒と醤油とわさびにくぐらせて薄く味をつけ、寿司桶にひろげた酢飯の上に散らすだけのことだ。

            今年は娘が寿司飯をつくった。

             

             さして手をかける訳でないにもかかわらず、ぼくをすこぶる楽しい気分にしてくれるのは、春の野を切り取ってきて 木の筺の中に生けるように感じるからなのだ。

            そういえば、去年は 食べてから数日が過ぎて「方尺の春」だなと思ったのだが、今年も ひな祭りから数日たって、ぼくは去年の『方尺の春」という言葉を思い出した。


            ETV特集「長すぎた入院 精神医療・知られざる実態」

            0


               

               

               先週末の夜おそく、もう寝ようとしていたとき、自宅のハードディスクに「ETV特集・長すぎた入院」という番組が残されているのに気づいた。

               冒頭だけのつもりで見はじめたが やめられなくなって 1時間のドキュメンタリーを最後まで見てしまった。

              ぼくたちの国でまたひとつ、かくも理不尽なことが行われていることに対する腹立たしさが、 眠気をすっかり吹き飛ばした。

               

               冒頭から登場する主人公 「時男さん」は、39年間も精神病院に入院させられて 退院することができなかった。歩くことも話すことも考えることも、ひとの気持ちを推し量り思いやることもできるおだやかな人が、意志に反して病院から出してもらえなかった。

               

               しかし、そこは 福島第一原発の近くに5つあった精神病院のひとつだった。

               原発から5km圏内にあったために、患者たちは病院を出て避難することになった。転院先の病院で診察をうけたところ、時男さんのいた病院の患者40人のうち、2人を除き 他の患者は入院の必要がない、むしろ家庭に帰って生活する方がいいのだと医師が説明する。

               

               長いあいだ 願っていた退院が、思いがけない事故によって実現した。時男さんは、「オレの、これまでの39年をどうしてくれるんだ」と言ってかつて入院させられていた病院の医師の胸ぐらをつかんで殴り飛ばすくらいの権利はあるがそんなことはしない。

               彼は、ひとびとの責任を追及するよりも、40年ぶりに戻った自由を 胸に深く吸い込み、自動販売機で切符を買うことや、ATMをつかうこと カラオケで歌うことによって それを実感するのだが、それでも退院できなかった理由を探そうとする。


              水と油と神楽坂

              0


                Click to PopuP

                 

                 先日、外出からもどってくると 机の上にコピーが1枚載っていた。

                神楽坂 清水流るゝ ■かな 紅葉」と、毛筆で一句書かれている。

                 この字は なんて読むんだろうと、ギンレイホールの加藤さんが置いていらしたという。

                 

                 ぼくは こんな漢字を見たこともないし、そもそも この崩し文字を読み取ることがあやしい。

                 MacBookの文字パレットを開いて「部首検索」で探すと、出てきたのは「膩」という漢字だった。

                音読みは「じ」訓読みは「あぶら」。

                 

                 神楽坂 清水流るる あぶらかな

                 

                 ということになるが、なぜ「あぶら」なのか?

                「『膩』という字らしいが、澄んだ水に油が浮いて虹が流れてゆくということでしょうか」と、加藤さんにショートメールを送った。 


                新年おめでとうございます

                0

                   

                   

                  新年おめでとうございます

                   

                  今年もよろしくお願いします

                   

                   WEB年賀状は、文字通り元旦に送信してすぐに届くことが気に入っていたのですが、今年は、私事で ことのほか作業が遅れ、正月三日に送信することになりました。「一陽来復 六合遍く昭か」と、読むつもりです。

                   シルエットの戌の右にいるのは申、一昨年の賀状につかった「くくり猿」です。

                  申しあげるまでもなく犬猿の仲の者たちが他者を認め合って共生するほかに人類の未来はないとは、心あるひとびと だれもが思い願うことでしょう。

                   

                   年号を西暦でなく平成にしたのは、独裁と軍備につき進もうとしそうな われわれの行政府に対して、明仁天皇が 憲法の定める矩の中で できるかぎりの力をつくされた30年へのささやな感謝と敬愛のしるしです。

                  30を「参拾」と書くと、「参」は戦地へのお参りを「拾」は ひとびとの思いを拾いあげることが目に浮かびます。

                   


                  「世界の夢の本屋さんに聞いた素敵な話」

                  0

                     世界の夢の本屋さんに聞いた素敵な話/ボブ・エクスタイン 著・イラスト/藤村奈緒美 訳/エクスナレッジ刊

                     

                     原書:FOOTNOTES* from the WORLD'S  GREATEST BOOKSTORES


                     ふた月ほど前に 駒ヶ根の加嶋裕吾さんが、いい本を見つけたといって 書名をメールで教えてくださった。

                     本屋についての本だから「かもめブックス」に置いてあるだろうと行ってみたが、在庫がないというので取り寄せを頼んだ。裕吾さんは、鑑識眼を信じている人のひとりだし、まして彼は もともと出版社の営業をしていた人だから、ぼくは実物を確認せずに注文した。

                     

                     2週間ほど経って、本の届いたことをしらせる電話がかかってきた。

                    ここに登場する本屋は、主にアメリカの それもニューヨークが多い。魅力的な本屋と そこに来た客や店の店員にまつわるエピソードを、雑誌「ニューヨーカー」にイラストを描いているボブ・エクスタインが、イラストと文章を書いた おとなのための絵本だ。


                    ドラマ「民衆の敵」と その味方たち

                    0

                       Click to PopuP

                       

                       さきの選挙では、自民党が2/3議席を占めた落胆と、進んで投票できる政党ができたよろこびが交錯したが、その翌日10月23日に「民衆の敵」という連続テレビドラマが始まった。

                       

                       若松孝二の映画「キャタピラー」などを書いた脚本家の 意欲的なドラマらしいと娘が期待しているので録画予約しておいた。安倍政権に協賛しているフジテレビから放映されるということにも興味を惹かれた・・・NHKであれ読売であれ、上からの圧力に屈しない人がいるということなのか。

                       録画を見てみると、おもしろい。

                       

                       このドラマと、それを活用して政治について知ろうと呼びかける女子学生たちを、先日の東京新聞夕刊が紹介していた。

                       彼女たちは「#民衆のミカタ」というTwitterのハッシュタグをつくり、その日の番組の内容について 地方議会の若い現役女性議員にインタビューする動画を番組放映の前後にYouTubeで流している。

                       内閣支持率が低いにも関わらず 与党が圧勝したのは、投票率が低いせいであることを考えれば、これは注目すべき活動だ。

                      続きを読む >>

                      | 1/13PAGES | >>

                      calendar

                      S M T W T F S
                       123456
                      78910111213
                      14151617181920
                      21222324252627
                      28293031   
                      << October 2018 >>

                      selected entries

                      categories

                      archives

                      recent comment

                      • 水と油と神楽坂
                        やす (07/21)
                      • 図書館で廃棄された「岩波講座 日本歴史」を持帰った・・どこかおかしくないか?
                        ChinchikoPapa (11/06)
                      • いつも通る裏道に選挙事務所ができていた
                        玉井一匡 (10/12)
                      • いつも通る裏道に選挙事務所ができていた
                        Tosi (10/11)
                      • いつも通る裏道に選挙事務所ができていた
                        Tosi (10/11)
                      • IWJがおもしろい;郷原信郎・寺脇研・望月衣塑子
                        Tosi (07/01)
                      • 「卵をめぐる祖父の戦争」と「25時」: さしせまる時間 と 閉ざされた場所
                        玉井一匡 (08/17)
                      • 「卵をめぐる祖父の戦争」と「25時」: さしせまる時間 と 閉ざされた場所
                        秋山東一 (08/17)
                      • エドワード・スノーデンの勇気:「暴露」
                        Tosi (08/13)
                      • 映画「NO」:選挙で 独裁者ピノチェトを退陣させた'88年のチリ市民
                        玉井一匡 (01/26)

                      recent trackback

                      recommend

                      links

                      profile

                      search this site.

                      others

                      mobile

                      qrcode

                      powered

                      無料ブログ作成サービス JUGEM