2024年 年賀

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    新しい年が明けました 本年もよろしくお願いします

     

    2年前に 小さなケーキ屋を開いた次女が いろいろと悩んだ末に、Twitterで このようなことを書きました・・・今年はいつものようなクリスマスケーキはつくらないで、 クリームで包んだ白いケーキに ハトとオリーブの葉をかたどったクッキーをひとつずつ添えるものにします、・・入りやすいところからパレスティナのことを考えてもらおうと考えて そう呼びかけると、思いがけず 270万ほどのアクセスと1万以上の「いいね」がありました

    ぼくは、そのハトとオリーブのクッキーを写真にとって、ハトたちがオリーブの枝を空から降りそそぐ年賀状に転用することにしました

     

    大戦中に、あれほどの悲惨な目に遭ってきた人々が、もともとそこに住む人々のいた土地パレスティナにやってきて国をつくったという歴史などなかったかのように、その子や孫たちが 先住民に対して どうして こんな仕打ちをできるのだろうかという疑問、ほぼリアルタイムで映像として送られてくる残酷な行動、それが生むであろう計り知れない復讐心、ショックドクトリンに乗り遅れまいとばかりに武器輸出規制を緩和しようという我らが浅ましい政府、詐欺同然の万博賭博計画・・・怒りを膨らませるタネには事欠かないが、怒りを元気に転換させて 正気を取り戻し、人類の宿痾である暴力も差別もないプラットフォームの再構築を目指して、まずはハトとオリーブの世界を思い浮かべます


    映画「最後の決闘裁判」と ウクライナ侵略という現実

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       去年の春、ギンレイホールで 映画「最後の決闘裁判」を見た。

      その数ヶ月前に封切上映された時に秋山さんからすすめられたのだが、暴力をめぐるつらい物語だということは聞いていたから、ついつい行きそびれていた。

      ギンレイホールで上映されることになって 映画館で見ることができたのだった。

       

       封切上映から数ヶ月後 この映画が名画座に来る寸前の現実世界で、プーチンのウクライナ侵略という大きな暴力、論外の理不尽が行われた。

       そんな時期に この映画を見ると、かつて人間社会は いかに暴力によって支配と秩序を形成していたか、しかし人間は なんとかしてその状態を法による統治に変えようと苦闘してきたのだと、つくづく感じた。

       にもかかわらず プーチンは、時間を何百年も巻きもどすように、あからさまな暴力で 法に基づく秩序を変えようとしたのだ。

       

       映画の舞台は14世紀末のフランス、そこで二つの暴力が重なる。

      ひとつは、レイプという犯罪としての「暴力」、もうひとつは、それを裁判所に訴えたが 法廷では いずれが真実であるかを判断できず、決闘によって勝者の主張を真実と認めるという 司法制度としての「暴力」である。

       さらに、主人公は騎士であるから、彼は領地の支配を王に認めてもらう代償として国王の戦争に馳せ参じて暴力を捧げ、その恩賞として領地や金品をもらうという存在であって、社会の秩序そのものが暴力を基幹にしている時代なのである。

       

       監督は「ブレードランナー」や「エイリアン」のリドリー・スコット、抜き差しならぬ立場に自らの意思で踏み込み、決闘で正邪を明らかにしようとする中世フランスの騎士をマット・デイモンが演じて、徹底的なリアリティと緊張感に ぼくたちを追い込むのだ。


      2023 新年おめでとうございます

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        〒169-0072 東京都 新宿区 大久保2-33-40

        こんなわけで、事務所の引越しのお知らせを年賀状に兼ねさせていただきました。

         

         昨年の秋は、皆既月蝕を見て 月が隠れる時には月が消えるのかと思っていたら、むしろ赤みを帯びた光を滲ませて美しいことが意外だったので、深く印象に残りました。 毎年の年賀状には、太陽と干支を材料にするのだが 今年は月を加えたくて、「菜の花や 月は東に日は西に」を題材にして、左に月 右に夕日 その間に見わたすかぎりの菜の花にしました。というわけで、「BOUSSON」はフランス語ではなく与謝蕪村。


        森達也の小説「千代田区一番一号のラビリンス」

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           ネットメディアのデモクラシータイムズに、新刊書の著者を招き 鈴木耕がインタビューする「著者に聞く!」という番組がある。

           そこにゲストとして森達也を招いて、小説「千代田区一番一号のラビリンス」を取り上げている。明仁天皇夫妻を主人公にした物語で、自分では なかなか面白いと思っているのだが 新聞・雑誌などマスメディアの書評は一向に取り上げてくれないと、はなはだ不服そうに著者は語っている。

           

           話の冒頭を少し聞いているうちに、ぼくは この本を ぜひ読みたいと思ったので、二人がストーリーについて踏み込んだ話をはじめる前に YouTubeの対談を途中で切ることにした。

           本を読むと、たしかに さまざまな意味で とても面白い・・・物語として、社会についての問題提起として、着眼としても、そして 天皇夫妻を描いたということも・・・森達也の不満はもっともだ。

           

           しかし 彼は、マスメディアがこの本を取り上げることに臆病であることなど覚悟の上で書いたに違いない。なにしろ この小説は 天皇を描くとともに、天皇について論じることを過剰に恐れるマスメディアを描いているのだから。

           

           小説を読み終わると  ぼくはふたたびYouTubeを開いて、対談「著者に聞く 千代田区一番1号のラビリンス」を最後まで見なおした。


          よだかれん 新宿区長を目指す:外国特派員協会の会見 と 「一日万冊」の対談

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             11月6日、新宿区長選挙が公示され、予想通り 行政書士・元区議会議議員 よだかれん氏が立憲野党の推薦を受けて立候補し、現職の吉住区長との一騎討ちとなった。

             公示に先立って11月2日、よだ氏は外国特派員協会の記者会見に招かれた。

             区長選挙への立候補を表明していたので、トランスジェンダーである彼女が当選すれば、 日本初のLGBTQの首長となることで海外からも注目され、日本に変革を起こすかもしれないと期待されたのだろう。

             

             会見は、かれんさんの英語によるスピーチの後、LGBTQや政策目標について 司会者と外国のジャーナリストからの質問に率直に明快に答える。

             豊橋に生まれ、小学校6年から高一まで沖縄で育ち、神奈川県に移ったのち、北新宿に住んでいる。俳優・ショーダンサー・行政書士・新宿区議(4位当選)・参議院選挙立候補・落選後は れいわ新撰組の政策立案職員のポストで働きながら次に備えていたが、求められて区長戦に立つことになった。

             

             10数年前、性転換手術を受けることを決めて、それまでともに過ごしたパートナーに別れ話を持ち出した。その時の彼の言葉や、両親に打ち明けた時の 母と父の受け止めかたについての話は 胸を打つ・・・上の写真をクリックすると、その部分から動画が始まります・・・政策についての質問にも、生活者中心の政策を具体的に掲げて現在の区政との違いを示している。


            「1Q84」と「1984」と 2022

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               7月8日に安倍晋三が撃たれてほどなく 警察発表によって銃撃の動機が公表されると、それが ネットに流れたのを見て ぼくは村上春樹の「1Q84」を思い出した。

               

               「1Q84」には、男女ふたりの主人公がいる。

              その一方の「青豆」は、DVを振るう男を標的に依頼を受けて、金のためではなく確実になしとげる暗殺者である。知的で かつ心身を自在にコントロールできる魅力的な人間として描かれている。

               

               物語の背景には、閉鎖的でありながら人の中に入りこむカルト教団がある。

              青豆自身は、それとは別のカルト教団の きわめて熱心な信者の娘として生まれ きびしい戒律を守り子供時代を育った。おかげで周囲の人々との間には深い乖離が生じ、さりとて教団や教義を いささかも信じないから、やがて みずからの意志で家を出て自活した二世信者である。

               

               銃撃事件の数日後にネットの情報番組ArkTimesで、ゲストにワシントンポストの記者をZOOMで招き アメリカにおける統一教会について話をきくのを見た。

              統一教会の教祖 文鮮明の姓「文」は韓国語で「ムン」と発音するので アメリカでは それをMOONと表記して、彼らの信仰をMOONISMと呼んでいたので、一見 やさしげな印象を与えていたというのだ・・・そう聞いて「1Q84」の世界には 空に二つの月が浮かんでいたことを思い出した。

               

               村上春樹は オウム真理教を題材に「アンダーグラウンド」というノンフィクションを書いている。ぼくは、オウムに興味を持たなかったから 読んでいないが、村上のことだからカルト教団と信者について丹念に調べ インタビューを重ねたに違いないし、統一教会にも関心を持っていただろう、それが1Q84のどこかに反映されたり密かに 何かが埋め込まれたりしているのではないかと興味を持った。

               


              泉房穂・明石市長と安富歩の対談

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                 安倍銃撃事件によって 統一教会が注目を浴びたために、自民党の政治家たちとカルト宗教団体がたがいに依存しあう仲であることが露見した。

                 これは、デモクラシーの根底を揺るがすほどの深刻な問題であるにもかかわらず、「だからどうした?」と言わんばかりに開き直って党の危機を乗り切ればいいとするような発言が、岸・福田の衣鉢を継ぐ世襲議員から出てきた。

                日本のデモクラシーの劣化は、さらに深刻な事態になっている。

                 

                 しかし、このような絶望的危機にあって、ぼくたちに希望を与えてくれる人や出来事がある。

                 先日の杉並区長選挙で、ひとりひとりの市民の自発的な活動を組織化した力によって岸本聡子さんが選ばれたこと、もうひとつ、コロナ対策の成功で注目された明石市は 市長の泉房穂氏が政党によらず市民の支持をもとに3期にわたって市政運営の改革を積み重ねて、よりよいコミュニティを構築していることだ。

                この二人は、いずれも僅差で選挙を制した。おかげで、彼らを支持し投票した人たち誰もが、自分たちと仲間の投じた票が大きな役割を果たしたと感じている。

                 その明石市長の泉房穂と経済学者の安冨歩の対談が実に興味深い。


                ドキュメンタリー映画「スープとイデオロギー」

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                   「スープとイデオロギー」を観た。

                   重くて根の深いテーマを取り上げながらユーモアを交えて描写してきたヤン ヨンヒは、常に自身の家族を題材にした。父、姪、兄、につづいて、母を中心にした このドキュメンタリーで家族の顔ぶれが揃うことになる。

                   できごとや環境のきびしさにもかかわらず この人の作った映画は あと味が悪くないのは、底流に家族への愛情が感じられるからだろう。

                   

                   監督のヤン ヨンヒ(梁英姫)は、2012年の「かぞくのくに」で、作品がキネマ旬報ベストテン1位になり、安藤サクラが主演女優賞をもらった。 

                   3番目の兄が北朝鮮から病気治療で帰国するが、 監視がつきまとい 行動に干渉することに妹は強く反発する。監督自身の体験を妹の視点で描いた劇映画の前に、2本のドキュメンタリーを作っている。

                   

                   彼女は、大阪 鶴橋のコリアン コミュニティで生まれ育った。父は 末っ子の娘をのぞき三人の息子をすべて、帰国事業で北朝鮮に渡らせた。

                   かつて 読売新聞が、大々的に金日成の唱える「主体(チュチェ)思想」を讃える記事を見開きで掲載したことを、ぼくは記憶しているが、日朝の政府がそれぞれの思惑のもとに主導した「理想の国づくり」を信じて息子たちを手放し、現実には 彼らを辛い状況に置くことになってしまった父に対して ヨンヒは抑え難い反発をかかえながらも、両親との間には愛情が通っている。

                   

                   理想とは かけ離れた独裁体制となった国に対して、なぜ 父は忠誠心を持続できるのか、なぜ 母は 父に同調しつづけるのかという疑問と反発を力に換えて、これまで映画によって自身の家族を描き続けたのだろう。
                   「あれはやってはいけない」と、カメラの前で拉致問題をポロリと語った1週間のちに,父は脳梗塞で倒れたという。
                   父が目指していた国のかたちは違うものだったことを、娘は最後に知って納得したのだろう。
                   

                  「海をあげる」

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                     「海をあげる」上間陽子/筑摩書房

                     

                     昨年末、若い友人夫妻にすすめられて本屋大賞2021ノンフィクション本大賞の贈彰式をYouTubeで見た。

                     著者である上間陽子さんのスピーチは 胸を打つ不思議な印象を残した。きわめて深刻な 沖縄の若い女のひとたちのありさまや、動こうとも減らそうともしない米軍基地のもとに暮らさざるをえない日々の 不条理を語りながらも なにか美しいものに包まれているようなのだ。

                     

                     1週間ほどのちに 二人に会うと、読み終わったら 周りの方に回してあげてくださいと言って この本を貸してくださった。表紙のデザインが気にいった本を読むときの常で、ぼくは インクジェットのプリンターでカバーのカラーコピーをつくり、二重にカバーを着せた。

                     ぼくが読みおわったあとは、50年も前からまちづくりで沖縄に通い続ける友人と その家族が読んでいる。

                     

                     本を読むと、内容の印象が 表彰式のスピーチそのままだった。そのうえ、表紙の視覚的な印象も 相似形をなしているようだ。絵は、海の底に植物とも動物とも知れない生きものが 光を浴びながらゆらゆらと動いているようで、美しい けれども どこか不穏なものが潜んでいる。

                    表紙のデザイン・スピーチ・本の内容・そして沖縄のありよう、それらの旋律がコーラスのように響きあって 心の底に残る。


                    新年おめでとうございます

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                       新年おめでとうございます。

                       

                       このところ 毎年の年賀状には、太陽と海とその年の干支を使って 新しい年を寿ぐことにしてきました。

                      しかし、しばらく前から 海といえば海面水位の上昇や海洋汚染をもたらし気候変動をひきおこす人間の生産や生活のあり方をも思わずにいられなくなってきました。

                       

                       国も人種も問わず すべての人を同じ危険にさらす新型コロナは、もしかすると すべての人類が同じ問題を共有し、一致協力して対処する機会に転ずるという奇跡を期待しましたが、トランプの時代とあって、むしろ分断と格差を広げました。

                      その一方では、グレタ・トゥーンベリのような若者が、多くの若者の共感を生んで行動を起こしています。

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